日本では、近年、大腸がんの患者さんが増加しています。食生活(赤身肉・加工肉の摂取・野菜不足)、喫煙、運動不足などの生活習慣やストレスが関係していると言われています。大腸がんは、がんの前段階である大腸腺腫からがんが発生するものと、直接粘膜からからがんが発生するものに分けられますが、どちらも小さい間は無症状で経過し、多くは集団検診、人間ドックなどでの便潜血陽性をきっかけに発見されます。
従来の方法では大腸腺腫を高周波の電流を用いて切除していましたが、治療後出血を起こすことがありました。数年前より臨床の場でも導入されるようになったコールドポリペクトミーという技術は、1cm以下の大腸腺腫に対して電流を使用せずに切除するもので、従来の方法に比べ出血や穿孔の確率が限りなくゼロに近いという結果が内視鏡学会でも報告されています。血液をサラサラにする薬を服用していても、粘膜層にある太い血管を傷つける事がないので、出血の危険性は極めて低いとされています。 また、切除を行うまでの工程が少ない事で短時間での大腸腺腫切除が可能となり、従来は放置されていた5mm以下の小さな腺腫も全て切除すること(クリーンコロン)を容易にしました。
《 当院でのコールドポリペクトミー実施件数(2017年4月~11月)》
大腸内の腺腫やがんを全て取りきることをクリーンコロンと呼びますが、このクリーンコロンを達成すると大きくその後の再発、発ガン率を下げるということが世界的な臨床研究で明らかにされています。