嚢胞とは顎骨内や粘膜内などに発生する膿や唾液の袋です。痛みなどの症状が無いまま徐々に大きくなっていくものが多いため、偶然レントゲンで見つけられることがあります。放置しておくと顎骨が弱くなり、容易に骨折する場合があります。また、唇や頬粘膜に水ぶくれ(唾液嚢胞)ができることもあります。
むし歯が進行し、歯の神経に感染が起こり、その感染が歯根の尖端まで波及してしまい、慢性化してしまうと歯根嚢胞ができます。
日常臨床ではしばしば遭遇するもので、顎骨の中に生じる嚢胞の50%以上を占めます。
(治療)
嚢胞の全摘出を行います。原因歯の骨植が悪い場合には、嚢胞の摘出と同時に原因歯の抜歯を行います。原因歯の骨植が良い場合には、感染した歯根の尖端部の切除(歯根端切除術 しこんたんせつじょじゅつ)とともに嚢胞の摘出を行います。
唾液の流通障害により生じる嚢胞です。唾液腺(唾液を作る工場)からうまく唾液が排出されないために風船のように膨れてくることで生じます。痛みはなく、大きくなると割れてしまい、粘り気のある液体が流失して腫れが消失します。
下唇、口底、舌、頬粘膜に生じることが多いです。なお、舌下腺から分泌された唾液が口底部に貯留して生じる粘液嚢胞をガマ腫といいます。
(治療)
嚢胞摘出を基本とします。原因となっている唾液腺も同時に除去します。再発することがあります
舌の先端にできた粘液嚢胞です。局所麻酔をして摘出します。外来でも簡単に摘出できます。
摘出物はご希望の方は病理検査を依頼します。