胆石症
胆石症とは?
食後や夜間に、脂汗が出るような突然のみぞおちから右あばら骨の下にかけての激しい痛みを経験したことはありませんか?その痛みは、背中や右肩にまで広がることもあります。このような症状は、胆石症の可能性があります。
かつては欧米人に多いとされていましたが、食生活の欧米化に伴い、日本でも珍しい病気ではなくなりました。現在、日本人の約10人に1人が胆石を持っていると言われています。
胆石は、胆汁の成分が固まってできる結石で、できる場所によって主に3つの種類に分けられます。
- 胆嚢結石(たんのうけっせき)
胆嚢の中にできる結石で、胆石症の中で最も一般的です(約80%)。 - 総胆管結石(そうたんかんけっせき)
肝臓から十二指腸へ胆汁を運ぶ総胆管にできる結石です(約20%)。 - 肝内結石(かんないけっせき)
肝臓の中にある胆管にできる結石です(約1%)。
「胆石」と聞いて一般的に指すのは、この中で最も多い胆嚢結石です。
胆石ができる原因
胆嚢は、肝臓で作られる胆汁という消化液を一時的に蓄え、濃縮する働きをしています。胆石の多くは、この胆汁に含まれるコレステロールが過剰になり、溶けきれずに結晶化することで形成されます。
コレステロールを主成分とする結石(コレステロール結石)ができる原因には、以下のようなものが挙げられます。
- コレステロールの過剰:肥満、高脂質食の摂取、妊娠、ピル(経口避妊薬)の服用など。
- コレステロールを溶かす成分の減少:加齢、肝硬変、過度なダイエットなど。
- 胆嚢の収縮機能の低下:食事の間隔が長い、運動不足など。
胆石症の症状と合併症
胆石を持っていても、約7割の人は自覚症状がありません。しかし、胆石が胆嚢の出口などに詰まると、以下のような「胆石発作」と呼ばれる症状を引き起こします。
- 腹痛
食後や夜間に突然、みぞおちから右あばら骨の下にかけて激しい痛みが起こります。鈍い痛みのこともあります。 - 放散痛(ほうさんつう)
>痛みは背中や右肩にまで広がり、筋肉痛のように感じられることもあります。 - 吐き気・嘔吐
胆石発作は、通常15分程度の強い痛みが1〜6時間ほど続くことが多いです。また、自覚症状がなくても、健康診断などで肝機能の異常や黄疸が見つかることもあります。
胆石を放置したり、胆嚢の出口が塞がれたりすると、急性胆嚢炎や急性胆管炎といった重篤な合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症は、発熱、悪寒、持続的な痛みなどの症状を伴い、重症化すると命に関わる敗血症に進行することもあります。
胆石症の診断と治療
診断方法
症状などから胆石症が疑われる場合、以下の検査を行います。
- 超音波検査(腹部エコー)
体への負担が少なく、胆石の有無や位置、胆嚢の状態を調べるための第一選択の検査です。多くの場合、この検査で診断が可能です。 - CT・MRI検査
より詳細な情報を得るために行われます。胆石の存在をさらに確認したり、総胆管や肝臓内の結石の有無、膵臓など他の臓器の状態を評価したりするのに役立ちます。
治療方法
- 無症状の胆石
ほとんどの場合、治療の必要はなく、定期的な経過観察が推奨されます。 - 症状のある胆石
症状を繰り返す場合、手術による胆嚢摘出が治療の第一選択となります。胆嚢腫瘍など、別の病気が疑われる場合も手術が勧められます。
かつて行われていた、衝撃波で胆石を砕く方法や飲み薬で溶かす方法は、効果が限定的であることや再発率が高いことから、現在ではほとんど推奨されていません。
手術方法
現在、胆石症の手術は、お腹に小さな穴をいくつか開けて行う腹腔鏡下胆嚢摘出術が一般的です。この手術は、従来の開腹手術に比べて、傷が小さく、術後の痛みが少なく、入院期間も短いという大きなメリットがあります。
当院では、患者さんの状態を十分に評価した上で、この腹腔鏡下手術を積極的に行っています。一部の特殊なケース(過去の開腹手術歴、重度の炎症、肝硬変など)では開腹手術が選択される場合もありますが、患者さんの負担を最小限に抑えるよう、できる限り腹腔鏡での手術を目指しています。また、傷の数を減らした単孔式手術など、より体にやさしい手術にも取り組んでいます。
(上段)単孔式、(下段)細径式
当院の胆のう手術の実績
2024年度は58件の胆のう摘出術を行いました(うち腹腔鏡手術は56件)
また、2011年1月から2024年12月末でに1,001件(うち腹腔鏡手術は983件)を行っています。
2025年2月から外科に内視鏡外科技術認定医の黒崎医師が加わわりました。
黒崎医師は同時期に562件の胆のう手術に関わっており、それを加えるとこの14年間ほどで1,560件程度の手術実績(年間100件強)ということになります。
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まずは脂肪に包まれた胆嚢と胆管をつなぐ管(胆嚢管といいます)や胆嚢に行く血管を見つけ出すことから手術は始まります。
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胆嚢管が見つかりました。
胆嚢に行く管であることを確認し、これにしっかりクリップをかけ切り離します。
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胆嚢に行く血管を見つけました。
この方の場合、この血管が肝臓に行く血管から枝分かれする部分が、胆嚢の裏側(胆嚢が肝臓に付着する部分)まで来ています。気をつけないと肝臓に行く血管まで傷つけてしまいます。しっかりクリップをして切り離します。
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胆嚢を肝臓から剥がしていきます。
肝臓に食い込んだり、胆嚢の壁に穴を開けたりしないように慎重に手術を進めます。
とれた胆嚢はプラスチックバッグに入れて、おへそのきずから引き出します。
この病気の標準入院期間は3~4日です
