噴門側胃切除術
腹腔鏡下手術
EITS消化器腹腔鏡手術エキスパート、ELKクリニカルアドバイザーを中心に腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。
腹腔鏡下噴門胃切除術の実際
もうひとつお見せします。
この方は50代の患者様です。
健康診断の胃カメラで胃の入り口(噴門といいます)に表面がゴツゴツとした盛り上がりが見つかりました。細胞を取ってみると、胃がんの細胞が見つかりました。
患者様は当初胃カメラによる切除を希望されましたが、超音波検査でがんの根が粘膜の下まで入り込んでいるため、胃カメラによる切除では治療が不十分になる可能性がありました。
通常この位置のがんは胃を全部取ることが多いのですが、病変が早期で小さく、胃を残して欲しいという患者様の希望もあり、胃の上半分を切除する(噴門側胃切除術といいます)ことにしました。
バリウム検査でも食道と胃のちょうど境目に病気があるのがわかります。
左のような位置の小さなきずから手術を行います。
きずの位置は手術する病院、医者によってさまざまですが、当院では左のようなきずで行います。
みぞおちのきずは、切った胃を取り出す時に3cmほどに広げます。
- ● 12mm カメラを入れるきず
- ● 5mm 主に術者が使う器具を入れるきず
- ● 12mm 主に術者が使う器具を入れるきず
- ● 5mm 主に助手の使う器具を入れます
- ━ 3cm 切った胃を取り出す時に使います
この先は実際の手術写真が含まれます。このような写真で気分が悪くなるような方はご覧になるのはご遠慮下さい。
実際の腹腔鏡による胃切除術の一部をお見せします。胃を切るだけでなく、胃に行く血管の周りについたリンパ節をしっかりとる事が重要です。
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まず、胃に付着する“エプロン”のような脂肪の膜を切り開き、胃や胃に行く血管を切る準備をします。
この時にこのエプロンに入り込んでくる血管も切り離します。脾臓に行く血管から出る胃の血管を、脾臓の近くで切り離します。 - 2
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胃に入り込む最大の血管がこの左胃動静脈です。この血管の周りにも脂肪に包まれたリンパ節があります。しっかりと根元で切り離します。
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切り離す食道の周りから胃のてっぺんの部分(胃底部といいます)にかけて、しっかりと回りの組織と剥がしておきます。
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カッターとホチキスが合体した器械で胃を切り離します。胃の下3分の2が残ることになります。
噴門側胃切除の場合には、胃を切り取る前に食道と残った胃をつなぎ合わせます。
これを吻合といいますが、吻合操作は全てお腹の中で行います。
吻合の後で食道を切り離し、胃が切除されます。切除した胃は3cmに広げた創から取り出します。
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胃、食道それぞれにカッター付ホチキスを入れるための穴を開けます。
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カッター付ホチキスをそれぞれの穴に入れて切り離すと、胃と食道がつながります。
その後で食道を切り離し、胃の上3分の1が切除されました。 - 3
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ホチキスを入れた穴を針と糸で縫ってふさぎます。これで完成です。
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胃から食道への胃酸の逆流を少なくするため、胃の壁の一部を食道の壁に縫い付けます。
お腹のきずはこんな感じです。
術後7日目なので、まだ少し傷が汚いですが、時間がたてばもっときれいになります。
胃を取り出したきず口は約3cmです。
開腹手術ではこのようなきずが必要です。
この手術の術後入院期間は6日間です。
