医療法人社団松弘会 三愛病院

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大腸がん

大腸がんとは?

食生活の欧米化にともない、大腸がんは現在、日本で最も多いがんの一つです。しかし、早期に発見し治療をすれば、比較的治りやすいがんでもあります。

大腸がんの主な症状は以下の通りですが、早期には自覚症状がほとんどありません。

  • 便に血が混じる(血便、下血)
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 便が細くなる
  • 腹痛、お腹の張り、貧血、体重減少

「症状がないから大丈夫」と考えるのではなく、定期的な検診で「症状がないうちにチェック」することが非常に大切です。

大腸がんの治療法

大腸がんの治療法は、がんの進行度によって決まります。がんがどのくらい深く根を張っているか、リンパ節や他の臓器に転移がないかなどを詳細に調べてから、最適な治療法を決定します。

1. 内視鏡治療

がんがごく早期で、大腸の壁のごく浅い部分にとどまっている場合は、内視鏡(大腸カメラ)を使ってがんを切除します。身体への負担が少なく、これで治療が完了することもあります。

2. 手術治療

内視鏡では取りきれないがんや、進行しているがんには手術が必要です。手術には主に腹腔鏡(ふくくうきょう)手術と開腹手術があります。

  • 腹腔鏡手術 お腹に小さな穴を数カ所開けて行う手術です。開腹手術に比べて身体への負担が少なく、術後の回復が早いというメリットがあります。現在ではほとんどの病院でもこの手術を取り入れています。当院でも内視鏡外科技術認定医を中心に、ほとんどの大腸癌手術を腹腔鏡手術で行っています。
  • 開腹手術 お腹を大きく切開して行う従来の手術です。がんが非常に大きい場合や、他の臓器に広がっている場合など、腹腔鏡手術では対応が難しいケースに選択されます。

3. 薬物療法

がんが広範囲に広がっている場合や再発・転移がある場合、手術に加えて抗がん剤治療や免疫チェックポイント阻害薬などの薬物療法を行います。患者様のがんのタイプや状態に合わせ、最適な治療法を組み合わせて行います。

当院の専門医療

当院では、大腸肛門病学会指導医、内視鏡外科技術認定医が中心となり、内視鏡治療から腹腔鏡手術、開腹手術まで、患者様の状態に合わせた治療を幅広く提供しています。再発した場合でも、手術や薬物療法を組み合わせ、患者様一人ひとりに最適な治療を行います。

当院で昨年施行した大腸癌手術は22件になります。

2025年2月に赴任した大腸肛門病学会指導医の黒崎医師が参加した大腸癌手術(執刀、指導)は2011年から2025年1月までに664件で、そのうち腹腔鏡手術は525件になります。

手術した場合の術後入院の標準は6日間ですが、術後の状態などによりご本人、ご家族とご相談しながら退院を決めていきます。

大腸がんの治療は、早期発見が何よりも重要です。気になる症状がある方、または検診を受けていない方は、お気軽にご相談ください。

腹腔鏡下大腸切除術の実際

大腸肛門病学会指導医、内視鏡外科技術認定医を中心に腹腔鏡手術による大腸癌手術を積極的に取り入れています。

大腸がんは下のような大腸造影検査(注腸検査)、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)にて発見、確認することができます。病変の場所、進行の程度により、腸を切る場所や範囲が変わってきます。

S状結腸という場所にできた大腸がんです。がんのために、腸が狭くなっています

肛門から約5cmの位置に出来た大腸がん(直腸癌)です。このような肛門に近いがんも、条件がそろえば人工肛門は作らずに腹腔鏡下に手術することが可能です。

左の直腸がんのバリウム検査の写真です。の部位にバリウムをはじく影が見えます。この場所にがんがあるのです。

下の図のように、がんのある場所によってお腹につくきずの位置や大きさが変わってきます。

左側の大腸や直腸に病気のある場合

右側の大腸に病気のある場合

  • 12mm カメラを入れるきず
  • 5mm 術者や助手が使う器具を入れるきず
  • 12mm 術者や助手が使う器具を入れるきず
  • 腸を取り出すために4cmほどのきずが必要になります

上のような位置の小さなきずから手術を行います。きずの位置は手術する病院や医者によってさまざまです。
腸を取り出すために、一箇所を4cmほどにきずを広げます。
通常は5個のきずで行いますが、状況によってはきずを増やすこともあります。

腹腔鏡下大腸切除(左側)の実際

大腸疾患に対する腹腔鏡手術は胆嚢摘出術に次いで、一般化している腹腔鏡手術のひとつです。まずは左側の大腸を切る手術から見てみましょう。
基本的に処理する血管は少ないのですが、がんに対する手術の場合、血管の周りに付いたリンパ節(通常血管のまわりの脂肪の中に入っています)をしっかりと取ってくる必要があります。
その一方で、血管には重要な神経がまとわり付いているので、これを傷つけないように残すことも重要です。

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大腸についている血管の入った膜(腸間膜といいます)を切り開き、腸に行く血管を処理する(切り離す)準備をします。
もともととても粗くくっついている膜なので、ほとんど血が出ることなく、この膜をはがすことができます。

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腸に行く血管が大動脈から立ち上がる部分です。
血管の周りにリンパ節があるので、この場所で血管を切れば、癌が及ぶリンパ節はほとんどが取り切れることになります。

2′

がんの場所が肛門に近い場合や早期のがんの場合、腸に行く血管が1本枝分かれしてから切ることがあります。この場合でもなるべく根元から枝分かれまでの血管についている脂肪を取ってきて、リンパ節に入っているがん細胞を取り残さないように注意します。

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途中の血管を切り離しながら、腸間膜を大腸ぎりぎりまで切り開いていきます。

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肛門側の大腸をはがし、切り離しをスムーズにするために切り離し予定部分の腸を充分露出しておきます。

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カッターとホッチキスが合体したような器械で、大腸を切り離します。
この後、お腹の一番下の傷を4cmに広げて腸を引き出し、大腸の口側をお腹の外で切り離します。
これで、病気の部分を含んだ大腸が切除されます。

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いよいよ残った腸同士をつなげます。この手術の中でも一番緊張する場面です。
自動吻合器という器械を使ってつなぎ合わせます。異常がないか確かめながらゆっくりとつないでいきます。

完成です。うまくつながりました。

左が腹腔鏡下大腸切除術のきずです。右が通常の開腹手術のきずです。

切り取られた大腸です。真ん中の盛り上がっている部分が、がんの部分です。

この手術の術後入院期間は6日です。

腹腔鏡下大腸切除(右側)の実際

小腸に行く血管の右側から大腸に行く血管が出ています。小腸に行く血管を傷つけてしまうと小腸が腐ってしまうこともあり大変です。

この血管を傷つけずに、大腸に行く血管だけをその根元で切り離すことで血管の周りに付いたリンパ節(通常血管のまわりの脂肪の中に入っています)をしっかりと取ってくることができます。この部分はとても繊細な操作が必要です。

大腸についている血管の入った膜(腸間膜といいます)を切り開き、腸に行く血管を処理する(切り離す)準備をします。
もともととても粗くくっついている膜なので、ほとんど血が出ることなく、この膜をはがすことができます。

腸間膜の中の血管

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血管が見えてきました。丁寧にこの血管を枝分かれの根元で切り離していきます。

静脈の切り離し

必ず動脈と静脈があるので、それぞれを見極めて切り離します。左の図のように、1本の血管に沿って、枝を払っていくような感じで血管を処理していきます。

動脈の切り離し

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内側から大腸の裏側に向けて、腸間膜をはがしていきます。

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小腸を器械を使って切り離します。

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大腸を外側から剥がしてきます。先に行った内側から剥がした面とつながり、これにより大腸は完全にブラブラの状態になります。
これで大腸を切る準備が出来ました。

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器械を使って大腸を切り離し、大腸切除が完了します。

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切除した大腸はおへそのきずを4cmに広げて取り出します。同時に小腸の切り離した端と大腸の切り離した端をここから引き出して、器械を使ってつなぎ合わせます。写真はつなぎ終わっておなかの中に戻したところです。

がんに打ち克つために、血管に沿ってリンパ節をしっかり取ってきました。

手術後1ヶ月たったときのきずです。

開腹手術のきずです。

この手術の術後入院期間は6日としています。

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